色は感情を表す:子どもたちの絵から子どもたちの心をさぐる

色は体と心に影響する

「真っ赤」な色を見ると体の内から
元気がでてくる、温かく、エネルギーがわいてくる、

「青」「緑」を見ると静かで心落ち着き、
リラックスした気分に。

みなさんもこんな経験あると思います。

これは時代や人種に関係なく
人類に共通する色の作用・パワーです。

心理学者たちは長年、
色が私たちのの心と体、
そして行動にどう影響を与えるかを
研究してきました。

例えばこんなことが分かってきました。

赤色一色に塗られた部屋に入ると
アドレナリン値が上がり、血圧、体温、血糖値が上昇、
体も心も興奮してくる、

一方、青色の部屋では、血圧、体温、
血糖値が下がり、体も心も落ち着いてくる。(※1)

特定の色が睡眠、記憶、学業に
影響することも報告されています。(※2)

試験の前に赤色をの数字を見るように
指示された生徒は、

の数字を見た生徒よりも
20%も成績が落ちたとの結果がでたとのこと

この研究によると、これは、「赤」という色は、
「危険」や「失敗の危険性」、「逃げたい」欲求を掻き立てるため、
という結論でした。(※3)

知らない間に私たちの心身は
色によってコントロールされているようです。

ただ、色の影響は、文化や時代、
また個人的な過去の体験も影響してきます。
そこを考慮しながら解釈する必要があります。

どの色を選ぶかで子どもたちの「気持ち」が分かる

特定の色は特定の感情、
行動を喚起させることが分かってきましたが、
一方、その人が選んだ色から、
感情、思考、行動を理解することもできます。

うつ状態や不安状態にあるとき
私たちは「グレー」「黒」を選びがち、
幸せを感じているときは「黄色系」「パステル系」を選ぶようです。
(BMCMedical Research)

これは、なんとなく体験的に
私たちも知っていますよね。

子どもたちはより分かりやすいです。

カリフォルニア大学の研究によると、

子どもたちはポジティブ感情
(うれしい、幸せ、たのしい)にいるとき、
明るい色を

ネガティブ感情
(怒り、悲しい、寂しいなど)にいる時、
暗い色を選ぶ

傾向があるという結果がでたとのこと。

子どもたちが黒色やグレーを使って
絵を描いていたら
少し気を付けてあげなくてはいけませんね

笑顔でいても、心の中は
曇っているのかもしれません。

解釈する前に気を付けること

色をそのまま解釈するのは危険です。
赤色を使ったからと言って、怒りや情熱的な状態なのか?

そうではないこともあります。

解釈する前に
注意することがあります。

1.環境要因

絵は描いている「環境」からも影響を受けます。
・部屋が暗すぎないか、
・寒すぎないか、暑すぎないか?
・絵が描ける環境か?
環境要因に少し目を配ってください。

2.心理的要因

また、描く前、または、描いている間に
何かストレスフルな出来事はなかったか、

小さなストレスが絵にもでてきます。
気を付けてみておきましょう

3.色の組み合わせ

単色で使った場合と、他色が組み合わさった場合では
解釈が異なってくることがあります。

そこにシンボルの意味も加わると
少し複雑な解釈が必要になります。

そんな時は専門家の意見を聞いてください。

色が意味すること:感情と色の関係

あくまで一般的なアートセラピーで使う
色の解釈です

どの色にもポジティブ・ネガティブの
両方の意味合いがあり
文化による影響を考慮しなければなりませんが、

一般的な指標として色がどのような感情を表すか、
という研究は子どもたちと接するうえで
非常に役立つものさしになります。

ざっくりと把握したいときに使ってみましょう。

● 赤
・プラスの意味:情熱、温かさ、生命力、
        健康、成長欲求
・マイナスの意味:怒り、攻撃、破壊、憎しみ、
         愛情欲求、衝動性

● 黄
・プラスの意味:自発性、たくましさ、冒険心、
・マイナスの意味:敵意、自己破壊的

● オレンジ
・プラスの意味:友好、共感、
        エネルギーに満ちた状態、喜び
・マイナスの意味:誇り、依存、抵抗、
         権力、無秩序

● 緑
・プラスの意味:回復、癒し
・マイナスの意味:情緒安定を求める気持ち、
         危険(西洋)、おせっかい

● 青
・プラスの意味:平和、静けさ、知性、直観的
・マイナスの意味:喪失感、心の闇

● 紫
・プラスの意味:精神性の高い
・マイナスの意味:パラノイア的思考

〇 白
・プラスの意味:純粋、光、無垢、浄化
・マイナスの意味:強い感情の抑圧、喪失、悲しみ

● 黒
・プラスの意味:変化の始まり、
        豊かなエネルギーのもと
・マイナスの意味:死、無、無意識、
        うつ、喪失、邪悪

色は私たちの体を心に
大きな影響を与える一方

どの色を使うかで、
その人の心の中を知ることもできる、

つまり、心を「視覚化」できる道具
として使うことができます。

言葉が大人ほど発達していない子どもたちの心を知るのに
色の解釈は大変役立ちます。

うれしいの?悲しいの?
いやなの?くやしいの?

子どもたちは大変感情豊かですが
それを表現する「言葉」を持っていません。

絵はそういった子どもたちと
コミュニケーションする「道具」になります。

アートを育児や保育に生かしたい、
と思われるお父さん、お母さん、
保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校の先生方、

自己成長のためにアートを使いたい、
そう思われた方、

アートを日常に教育に使うための
ワークショップを開催しております。

下記までご連絡ください↓

連絡先: seeds@f-aire.com

プロフィール:https://f-aire.com/creative-experts/mind-experts/

<参考文献>

※1.Meola, Kalyan. The Psychology of Color. University of Hawaii at Hilo.
https://www.verywellmind.com/color-psychology-2795824chromeextension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://hilo.hawaii.edu/campuscenter/hohonu/volumes/documents/Vol03x09ThePsychologyofColor.pdf

※2.Choose the Right Nursery Color Using Color Psychology

https://www.thespruce.com/color-psychology-for-kids-2504750
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23983571/

※3.Elliot AJ, Maier MA, Moller AC, Friedman R, Meinhardt J. Color and psychological functioning: the effect of red on performance attainment. J Exp Psychol Gen. 2007;136(1):154-68. doi:10.1037/0096-3445.136.1.13.

※4.https://www.livescience.com/6084-colors-describe-happiness-depression.html